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駆動方式

 蛍光表示管は直熱型三極真空管の一種です。 加熱したフィラメントから放出される熱電子をグリッドで加速しアノードに入射させます。 アノード上には蛍光体が塗布されており、電子が入射することにより発光します。  基本的な駆動方法としては、スタティック駆動とマルチプレックス駆動があります。 この2つの駆動方法と実際に駆動回路を設計する際に考慮していただく事項についてご説明します。

スタティック駆動

 スタティック駆動表示管では、アノード端子がセグメントごとに個別に引き出され、 グリッドは全表示パターンを一つでカバーします。 グリッドには常に正電圧を印加し、アノードを選択してON/OFFすることにより任意の表示を行います。

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図1 スタティック駆動の原理

 

 スタティック駆動ではアノードの発光デューティ(Duty)が100%(直流)であることから、 比較的低電圧(12~15V)で駆動できることや、タイミング回路を必要としないなどの特長があります。 しがし逆に1セグメントあたりドライバが1出力必要になりますので、 桁数、セグメント数の多い表示パターンの蛍光表示管では、ドライバ数が増えることになります。

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図2 スタティック駆動の回路原理

 

マルチプレックス駆動(ダイナミック駆動)

 マルチプレックス駆動の蛍光表示管では、 各桁の対応するセグメント電極が共通に接続され、一つのアノードとして外部に引き出されています。 桁ごとに独立して分割されたグリッドに桁選択パルスを与えることにより時分割表示を行います。

 マルチプレックス駆動では、時分割表示のため、1桁あたりのアノードの発光デューティが小さくなります。 十分な輝度を得るためにはアノードおよびグリッドに印加する電圧を高くしなければなりませんが、スタティック駆動に比べればドライバの数は圧倒的に減らすことができます。 このため比較的セグメント数の少ない場合を除いて、ほとんどのケースでこの駆動方式が採用されています。

 マルチプレックス駆動の蛍光表示管の基本的な配線構造、基本駆動回路、および駆動タイミングチャートを図3、図4、図5に示します。 図5のタイミングT1では、グリッドG1およびアノードb、cに正電位が印加され、また他の電極はオフ電位(4.カットオフの項を参照)となっていますので、G1桁のアノードb、cが発光し数字の「1」を表示します。 またタイミングT2では、G2桁に数字の「2」を表示します。 これらのサイクルを高速で繰り返すと、人の眼の残像現象により、連続した表示が得られます。

 また、表示エリアを2つに分割してマルチプレックス駆動する方法は、 「デュプレックス駆動」とも呼ばれることがあります。 この方法ではスタティック駆動よりドライバ数が低減でき、 またマルチプレックス駆動よりは駆動電圧を下げることができます。

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図3 マルチプレックス駆動の原理

 

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図4 マルチプレックス駆動の回路原理

 

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図5 マルチプレックス駆動の タイミングチャート原理

 

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